酸棗仁湯(さんそうにんとう)
解説
出典は金匱要略(きんきようりゃく)で、「虚労虚煩で眠るを得ざるは、酸棗仁湯、之を主る」とあります。
虚労とはストレスや過労等が原因で心身ともに疲れている状態で、虚煩とは、胸の中がザワザワ、悶々、不安感等のある状態です。こうした方の不眠に酸棗仁湯がよく用いられます。
簡単に言うと、「疲れているのに眠れない」といった方に適したお薬であります。
ただし西洋薬のように1回服用してすぐ眠くなるというものではありません。寝る前だけではなく1日2~3回服用を継続し、何より大元のストレスや過労を少なくする必要があります。
重度の精神疾患を持っている場合は酸棗仁湯だけで治療することは難しいので、他の漢方薬との併用や、向精神薬との併用をおすすめします。
また、眠れるけれども眠りが浅かったり、夢をよく見るような方、疲れやすく、不安や動悸を伴う方にも適しています。
構成生薬
- 酸棗仁
- 茯苓
- 川芎
- 知母
- 甘草
適応症状
- 不眠
注意
- 甘草を含むことから、他に漢方薬をお飲みの方は注意してください。