2019年9月号
富士薬局ジャーナル
朝方はだいぶ涼しくなり、夜にはコオロギが鳴く季節となりました。一方で日中はまだまだ暑く、セミも懸命に鳴いております。
セミは一生の大半を地中で過ごし、成虫になったセミの寿命は約一か月といいます(注)。これは人間で例えると、暗い場所でじっと70年間眠り続け、起きて一年くらいしか生きられないようなものです。
(注)セミの寿命は一週間というのが通説ですが、実際は成虫となった後、約一か月は生きることが最近の研究で分かったそうです。
年を取るにつれての一年はあっという間に過ぎていくものですが、きっとセミにとっての一か月というものは、人生が集約された濃密な一か月なのでしょう。
私たち人間は、決められた秩序の中で、人様に迷惑がかからないよう、モラルとか、ハラスメントとかに気を付けて生きております。
一方で、短い青春時代を、懸命に大きな声で叫び、小便をまき散らし、伴侶を求める、そんなセミの一生に自分を重ねてみると、はかない人生とはなんだろう、なんて考えたりします。
今回はそんな夏の終わりのセミのお話でした。