桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
解説
桂枝加芍薬湯は「傷寒論」の基本処方である桂枝湯(桂皮、芍薬、甘草、生姜、大棗)の芍薬を倍量にした処方です。桂枝湯は元々太陽病という寒気を伴う風邪に用いる薬ですが、芍薬の量を増やした桂枝加芍薬湯は主にお腹の不調に用いる薬であります。
構成生薬のバランスで薬効が変わるということを如実に表した面白い漢方薬の一つであります。
芍薬はそもそも、陰(体の体液)を補い、攣縮(筋肉の収縮)を鎮める生薬であります。そのため芍薬甘草湯はこむら返りによく用いますが、桂枝加芍薬湯も同様に、お腹が張って痛むような方によく効きます。
便秘の方は大黄を使った下剤を良く用いますが、大黄が合わないような方の便秘で、お腹が張るような方に効くことがあります。また便秘だけでなく、便が出た後にすっきりしないしぶり腹や、腹痛を伴う下痢の方にも用いられることから、過敏性腸症候群と診断された方によく用いられるようになりました。
構成生薬
- 芍薬
- 桂皮
- 大棗
- 甘草
- 生姜
適応症状
- 腹痛、腹部膨満感、しぶり腹