柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
解説
傷寒論が出典の柴胡剤に分類される代表的な漢方薬です。現代でいうところの心療内科の薬であり、不眠、不安、神経症、うつなどによく用いられます。
参考書では「比較的体力のある」「比較的体格のいい」方に適しているとよく記載されますが、茯苓、大棗や人参など補剤が配合されていることからも、実証でなければ使えないというものではありません。やせている方や疲れやすい方でも服用いただけます。ただし下痢や軟便などお腹が弱い方は大黄の入っていないものを飲むように注意してください。
内容としては小柴胡湯から甘草を除き茯苓、桂皮、竜骨、牡蛎が配合されたものであります。ベースとなる小柴胡湯の柴胡、半夏、黄芩は体の中に生じた熱をとる役割があることから、熱っぽさ(例えばイライラ、易興奮、高血圧、舌や脈などで判断)のないものには本来使うべきではなく、熱っぽさの無い場合は桂枝加竜骨牡蛎湯を選択します。
便秘や瘀血(末梢など血管の循環障害)の初見がある場合は特に大黄が入っているものがよく、お腹の調子に合わせて加減するとよいです。
本剤の応用範囲は広く、上記以外にも動悸、息切れ、夜泣き、円形脱毛症、振戦などにも用いられます。
構成生薬
- 柴胡
- 半夏
- 茯苓
- 桂皮
- 黄芩
- 大棗
- 人参
- 生姜
- 竜骨
- 牡蛎
- (大黄)
適応症状
- 不安、不眠、神経症
- 心悸亢進、胸内苦悶
- てんかん
- こどもの夜泣き
- 陰萎
注意
- 本剤の中には大黄を含む製品もあり、下痢・軟便傾向の方は症状が悪化することがあります