加味逍遥散(かみしょうようさん)
解説
婦人科で用いられる漢方薬としては代表的なものです。また婦人科ではなくても自律神経失調症や不眠にも用いられます。
加味逍遥散の原方は中国の古典である「和剤局方(わざいきょくほう)」に収載されている逍遥散です。
これに瘀血を除く作用のある牡丹皮と清熱作用のある山梔子を加えた処方です。中国では、丹梔逍遥散(たんししょうようさん)とも呼ばれています。
中医学において肝という臓器はストレスと関係しております。ストレスにより肝が傷つき機能が低下することで、血が不足し、気の巡りも悪くなります(肝気うっ滞、肝血虚)。血液、陰液(血液以外の水分)が不足すると、体を温める陽気が相対的に更新した状態になり熱を生じます(肝鬱化火、陰虚火旺)。イライラしたりおこりっぽくなったり、またそれが生理前後に変動しやすい方、眠りが浅く夢をよくみる、口が乾きやすい、便秘がち、口内炎や膀胱炎になりやすいなどの症状があらわれます。こうした方に加味逍遥散がおすすめです。
私は30代~50代の女性によく用いますが、効果がはっきりでるとてもいい薬です。
イライラや炎症が少ない方は、逍遥丸がおすすめです。
構成生薬
- 当帰
- 芍薬
- 白朮
- 茯苓
- 柴胡
- 牡丹皮
- 山梔子
- 甘草
- 生姜
- 薄荷
適応症状
- 神経症、不眠症
- 更年期障害
- 生理不順
- 便秘
- 湿疹
注意
- 甘草を含むため、他に漢方薬を服用の方は注意が必要です。