加味帰脾湯(かみきひとう)
解説
加味帰脾湯は、帰脾湯に柴胡、山梔子を加えた処方です。
帰脾湯は中国宋代の「済生方」という書物に記載されており、帰脾とは体の血があちこちに散らばった時に、脾(消化機能)の方へ帰らせるという説明がされています。現代的には貧血を治療する薬として用いられています。中医学では、脾は血をコントロールする臓器と考えられているのもこの所以と考えられます。帰脾湯は脾の気を補うだけでなく、不足した心血を補うことで、不眠や不安感などの症状に効果を発揮します。
加味帰脾湯は柴胡と山梔子を加えることで、イライラや不眠など精神症状の改善に特化したものと考えられます。
帰脾湯や加味帰脾湯の増血作用は、現代では紫斑病や再生不良性貧血に対して用いられ有用性が確認されたという報告もあります。
また、うつ病や記憶障害にも臨床応用されています。
構成生薬
- 黄耆
- 柴胡
- 酸棗仁
- 蒼朮
- 人参
- 茯苓
- 遠志
- 山梔子
- 大棗
- 当帰
- 甘草
- 生姜
- 木香
- 竜眼肉
適応症状
- 貧血
- 不眠・不安・神経症