2025年4月号
富士薬局ジャーナル
街を歩くと公園や川沿いの道などあちこちで桜の花が綺麗に咲いています。日本の国花でもある桜は原種が10種ほどあり、変種を合わせると100種以上の桜が自生しているといわれています。
中でもソメイヨシノは全国の桜の約8割を占めていますが、実は自然界では種子から育つことは無く、接ぎ木などで人の手を借りて増やされるクローンなのです。
つまり、国内のソメイヨシノは遺伝的にはほぼ同じ個体で、開花時期がそろうのもこのためと考えられています。
ちょっと興のそがれる話かもしれませんが、思えば桜だけでなく、この国の美しい街並みや山や川の景色も人の手が入ってないところはほとんどないといっても過言ではありません。
景色だけでなく、私たちが食べる物から買い物をする場所、遊びに行くところ、スマホを閲覧するサイト、なんだか何かにコントロールされているような気分になるのは私だけではないと思います。
これは人工的なことが悪いという話ではありません(むしろ楽しい)。人の手を借りたものはどうしても効率的で無駄がなく安全で予測しやすいからこその未来を憂う話とでもいいますか、もしもSDGsのような未来が本当にあるならば、効率が悪くて予測のできない危ないものも大切にしてほしいと私はなんとなく思うのです。



