2020年12月号
富士薬局ジャーナル
透明な膜
早いもので今年も残りあと一か月となりました。今年はオリンピックイヤーとなるはずが、一転コロナに振り回された一年でした。
当薬局においても営業の時間短縮やマスク・体温計の欠品等で皆様にはご迷惑をおかけいたしました。
コロナの影響により、様々な業種で、衛生管理やオンライン導入等の変革が求められ、今も依然として厳しい環境に陥っている方も多いと思います。
当薬局は今のところ、それほど大きな影響を受けてはいませんが、国はオンラインでの保険診療を推進しており、私たちの保険証がマイナンバーカードと一体化することもそんなに遠いことではないようです。
先日は次男のリクエストで、くら寿司に家族で行きました。くら寿司はスマホで席の予約ができるのですが、お店に着くと店頭のタッチパネルで席を案内され、テーブルの端末やスマホで寿司を注文し、会計も端末で、と、全然お店の人に会ってないことに気づきました。
すごく未来的で感動したのですが、同時に少し寂しさと不安も感じてしまいました。
今でも街を見渡すと、顔の半分を隠した人たちが歩いています。
また、これからの社会はますます多様化が進み、LGBTや人種差別、障がい者差別など、私たち一人一人がより理解を深めなければいけないことも多くなると思います。
結果、より互いが互いを尊重し、「傷つけないように」「触れないように」が当たり前の世界になっていく。
そんな未来を、私は想像します。
それは一見、平和のように見えますが、私たち一人一人の前に透明な膜がかかってしまったかのような疎外感・孤独感がただよう世界のように思えてしまうのです。
これから、もしかしたら世界はもっと私たちの前に透明な膜を強いることがあるかもしれません。
それでも、人と人との間にある透明な膜を時には振り払い、誰かを傷つけることを恐れず、言葉を交わし、肌をふれ合うことができる、そんな未来も子供たちに残っていてほしいと思うのです。